BPファシリテーター登録更新
BPプログラムには、「親をどう見ているのか、また、子育て支援についてどう考えているのか」、6つの基本的考え方があります。1. 「親はみな、子どもを愛し、よい親になりたいと願っている。
そして、子どもが健康に幸せに生きることを願っている」
これは、「親への絶対的信頼」というBPプログラムの基本姿勢であり、BPプログラムの親に対する見方です。
BPファシリテーターが最もたいせつにすべきことは、参加者が “安全に、安心して話し合いができる場” を創り出すことです。「親はみな、子どもを愛し、よい親になりたいと願っている。そして、子どもが健康に幸せに生きることを願っている」という眼差しで参加者を迎えることで、参加者は安心して安全な場として、BPプログラムに参加できるのです。
2. 「現代日本の子育て世代はいろいろな点で優れた能力を持っている。
ただ残念なことに子育て経験が不足している。しかし、それは本人の責任ではない。」
現代日本の子育て世代は、子育ての経験が不足しているだけで、いろいろな点で優れた力を持っていると考えています。そのため、育児の基本的な知識を提供しさえすれば、親同士が話し合う中で、子育てに関する様々な問題を親自身で解決していけると考えています。その点もBPプログラムが親への絶対的な信頼の上に作られていると言われるゆえんです。
3. 「生まれながらに一人前の親はいない。
親は子育てをする中で、まわりから情報やサポートを受けながら、親として育っていくものである。」
「生まれながらに一人前の親はいない」という考え方は、言いかえると「生まれたときから、親としてどのようにふるまえばよいか、がわかっている親はいない」ということです。特に現代日本の親たちは育ちの中で、親になるための準備ができていません。例えば、小さい赤ちゃんや子どもの世話をする経験がないままに自分の子どもを産む、といったことです。そのため、「親としてどのようにふるまえばよいか」「自分の育児が、これでいいのかどうか」がわからずに悩んでいます。
「親は子育てをする中で、まわりから情報やサポートを受けながら、親として育っていくものである」ということは、当たり前のように思われます。しかし現実には、「子どもを産めば親としての役割がすぐに果たせるもの、あるいは果たすべきもの」とまわりの大人や社会は、親たちを見ています。親自身もそうでなければと考えていますので、「できない自分」「自信が持てない自分」の育児に悩んでいます。
BPプログラムの参加者は「悩んでいるのは私だけではなかったことがわかって、ホッとした」と異口同音に言います。日本の母親たちの「他のママたちはちゃんと育児をしているのに、私だけ・・・」という悩みはかなり一般的なものであり、しかも深刻です。「最初から一人前の親なんかいない」「親は、まわりからの情報や支援により、子育ての中で、親として育っていく」という立場は、「母性神話」を明確に否定するものです。 また、「生まれながらに親としてふるまえる人はいない」という視点は、BPプログラムのような親業(parenting)を学ぶ機会を、社会が積極的に提供することの必要性を述べています。親がピアレビュー(Peer-Review)の輪の中に入れる機会を提供するのがBPプログラムのひとつの大きな役割です。
4. 「親自身のニーズが満たされることは、その親が自分の子どものニーズを満たす ための大きなステップになる。」
この考え方は、子育て支援のもっともたいせつな点を述べたものです。 親は「自分で子どもを育てたい、子どもと関わっていたい」というニーズと、親自身の自己実現を図りたいという2つのニーズを持っています。これらのニーズはともすると相反するもので、現実の親はどちらか一方を選択することを迫られています。特に現代日本の子育て支援では、親が抱えているこれらの2つのニーズが両立できるように支援することが重要な課題になってきています。
5. 「子育て支援は、非日常に対する支援ではなく、日常の営みに対する支援であることを、支援者は明確に自覚すること。」
従来の支援は病気などの非日常の事態に対する支援でしたが、子育て支援・次世代育成支援は日常の営みに対する支援であり、すべての親子が対象です。
6. 「親を親として育て、親を支援することにより、子どもを育てる」
子育て支援・次世代育成支援は日常の営みに対する支援であるがゆえに、仕事量が大きすぎて、専門職が直接支援することはできません。そのような認識の上に立ったとき、「親を親として育て、親を支援することにより、子どもを育てる」という基本戦略が、子育て支援においては現実的で最も有効な方法です。